データ




乾はルドルフの校門の前まで来ていた。
(この時間にここで裕太君に会える確率95%)
ぶつぶつと言いながら裕太を待つその姿は周りから見るとかなり怪しかった。そのため部活を終えて帰る生徒達みんな関わりたく無いとばかりに早足で乾の脇を通過していった。

「おい、あそこにいるのって青学の乾さんじゃないか?」
「本当だ。なんかあんのかな?」

金田と裕太が話していると乾が近づいてきた。

「やあ、裕太君偶然だね。」
「・・・・・はい。」

少し間が空いたが「偶然だね」と校門の前に立っていた人に言われて「はい」と返事をしてしまった
裕太をみて、金田は乾は絶対待っていたのに違いないと思い、友人の裕太にそんな偶然はあり得ないと言おうと思った。
しかし、いざ言おうと思って金田が口を開いた瞬間、乾は得意(?)の逆光で金田を威圧した。
その勢いに押された金田は何も言えなくなってしまった。
乾は逆光で金田を黙らせた後、この日のために集めてきたデータ(おい)を駆使して裕太を近くの喫茶店に誘った。

「データ収集のために偶然この近くに来たら、近くの喫茶店でいちご祭り(どんなだよ)を開催していてね。それで、裕太君がいちご好きなのを思い出して誘いに来たんだ。」

(いちごを出して裕太君が誘いに乗る確率60%、まだあまいな、もっと確率を上げなければ)

「良ければごちそうするよ。いろいろ話も聞きたいし、青学の様子も少しなら話せるよ。」

(これで確率は80%だ、まず断られることはないな)

「無理ですよ。これから夕飯ですし」

(なにっ!理屈じゃない・・・。)

すっぱり断ってきた裕太の言葉にショックを受け、さすが不二の弟(禁句です)だ正確なデータを取らせてはくれていないと言うことか。
などと混乱しているとさらに乾のデータを超える言葉を裕太は投げかけてきた。

「すみません、せっかく誘ってくれたのに。あっでも、もし寮の部屋で良ければお話しできますよ。」

夕飯までの短い時間になってしまいますけど、と申し訳なさそうに話す裕太を乾は信じられないものを見るような目で見てしまった。金田もまさか自分の部屋の誘うなどとは思っていなかったらしく同じような目で裕太を見ていた。

「しかし、いいのかい?他校の生徒が入っても。」
「別にかまいませんよ、なぁ金田。」
「あ、うん。結構色んな人来てるし。」

知らなかった、ルドルフの寮についてもっとデータを集めておこう。と乾は心に誓った。

「そうだな。オレではお言葉に甘えてお邪魔するよ。」
「はい。部屋散らかってますけど。」

ちょっと照れながら話す裕太を見て金田は、(オレは席を外した方が良さそうだな、)と思った。

「裕太、俺用事思い出したから先行くな。裕太は乾さんとゆっくり来いよ。」
「あ、ああ。」

急に寮に向かって走り出した金田に呆気にとられながらも返事を返す裕太。

「ところで、寮はあそこに見える建物かい?」
「あっそうです。」
「ほう、学校から寮までの距離はだいたい・・・」

(しまった、ついいつもの癖でデータ分析をしてしまった!)

乾が裕太の方を見ると、初めはちょっと驚いた顔をしていたがふっと顔がゆるみ裕太は笑顔になった。

「乾さんて本当にデータ分析が好きなんですね。観月さんも凄いですけど。」
「データは嘘をつかないからね。」
「あっ、着きましたね。俺の部屋はあっちなんです。」

そういって裕太は乾を自分の部屋に案内した。

「すみません、散らかってて。あっどうぞ奥に座ってください。」
「すまないな。ところで、なんだかメモがいっぱい貼ってあるけどこれは?」
「あぁ、それは観月さんから頂いたメモなんです。分析したデータをメモに書いていつもくださるんです。それを見て自主連のメニューとか考えてるんで貼ってあった方が便利なんです。」
「自主連のメニューは自分で考えているのか?」

(観月が考えている確率が97%だと思ったが。)

「最近では、なるべくそうしてます。」

観月さんに相談することのが多いですけど、と苦笑いしながら話す裕太。

二人は、しばらくテニスの話題で盛り上がっていた。

「あっ!そろそろ夕食の時間だ。すみませんあまりお話しできなくって。」
「いや、かまわないよ。色々面白い話も聞けたしね。ところで、不二とかもこの部屋にはよく来るのか?」
「いえ、兄貴は・・・、兄貴も来たことありません。部屋に入って貰ったのは乾さんが初めてです。」

顔を真っ赤にしながら答える裕太。

(こっこの反応は!もしかして・・・いや、まさかな。しかし確率は高い言ってみる価値はありそうだな。)

「裕太君・・・あの」
「あー、俺もう行かないと。今日はお話しできて、その、嬉しかったです。偶然でも・・・。すみません、失礼します。」
「裕太君!偶然じゃないんだ、部活の終わる時間を調べて待っていたんだ。確率を計算して、確実に裕太君と話せるように。すまない。」

二人の間に沈黙が続く。

「俺は・・・裕太君のことが好きだ。検討してみてくれないか?」

(しまった、ここで検討してみてくれ。は、おかしかったな。)
と乾は思った。

「乾さん・・・俺、乾さんのことが好きです。」

乾は、首まで真っ赤にしながらに答える裕太を見ていた。

(これからが大変だ、敵が多くなる事が予想される。しかし、裕太君と乗り越えていける確率100%。心配は要らないが用心はしておこう。)


ここまで読んでいただきありがとうございます。
本当にすみません。ただ、乾さんに(理屈じゃない)っていわせたいがために書いてしまいました。でも乾さん書いてて楽しかったです。(自己満足)口調がつかめていないので別人になってしまいましたが・・・(おいっ)裕太君も乙女化してます。理想は可愛かっこいい裕太なのですが。



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